『プロバイオティクスによるアトピー性皮膚炎の初期予防効果のヒトでの治験』
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近年になってプロバイオティクスの投与によって免疫耐性の獲得と抗炎症作用が誘導され、アレルギー発病率
が低下することが報告された。
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自験例で二重盲験・ 無作為比較試験を行った結果では、ビフィダム株ビフィズス 菌 BGN4 と乳酸桿菌
AD011 とアシドフィルス菌 AD031 を混合して周産期に経口投与した乳 児群では、非投 与群に比較して統計的に有意に有病率と累積的な発病率が低下した。
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服部の報告によれば、腸管内でビフィ ズス菌が欠乏しているアトピー性皮膚
炎児に凍結乾燥したビフィズス菌を経口投与したところアレルギー症状の 改善が見られた。
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乳酸桿菌 reuteri ATCC55730 株を用いた二重盲験・無作為比較試験では、8億個の菌株を妊
娠36週以後の母親に出産までと、生まれた乳児に1歳になるまでの期間投与 した群では、子どもが2歳になっ た時点での IgE 関連皮膚炎の頻度が統計学的に有意に低かったものの、乳児湿疹の予防効果は確かではな かった。
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乳酸桿菌 rhamnosus 株(LrGG )と reuteri
株を混合して経口投与すると、アトピー児の湿疹の範囲を縮 小することが出来、好酸球活性を示す血液検査値が低下した。この実験では両親にア レルギー体質がある方 がはっきりとした結果が得られた。以上の結果はプロバイオティクスが腸内環境を通じてアレルギー性炎症を改 善することを示唆してい る。
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