共益性の腸管内細菌叢が散発的な感染症よりもアトピー性疾患の予防に重要であることを提言する。
.
腸管内の細菌叢は抗アレルギー作用を以下のプロセスで発揮すると考えられる。
.
(1)Th1 型ヘルパーT細胞免疫 (2)TGF-β を介した免疫調節:これは Th2
型ヘルパーT細胞によるアレルギー 性炎症を抑制して経口脱感作を誘導する (3)腸管膜バリア機構の主役である IgA 産生の誘導 これらの経路から、腸管内細菌叢は胎児や新生児期の、人類がもって生まれる Th2 型細胞に偏った免疫シス テムを反転させる、後天的な調節機構であると推 論される。結論として腸管内の共益性微生物は、人生の最初
にして最大の腸管免疫を成熟・発育させる刺激となっていると思われる。
.