表題:小児アトピー性皮膚炎の予防と治療に関するプロバイオティクスの臨床試験のメタ分析
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周産期と乳児期のプロバイオティクスサプリメント使用は、赤ちゃんのアトピー性皮膚炎に対する予防目的と治療目的で臨床試験が続けられてきました。
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しかしながら、実験デザインの不一致により、結果は賛否が混乱して解釈を妨げています。
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そこで、子どものアトピー性皮膚炎に対するプロバイオティクスの効果を定量的臨床試験の結果の集積から解釈し、優れた方法論で行われた実験を集約して鍵を握る実験の特性を把握するために、今回のメタ解析を行いました。
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PubMed と Cochrane
を使用して、1997年2月から2007年5月までの21編の医学実験データ(被験者総数 n=1898,年齢分布0才~13才)が検索されました。この中から2重盲験試験を実施した10編が抽出されて、RevManを使用してメタ分析にかけられました。
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予防効果に関する6編の実験データ(被験者総数 n=1581) および治療効果に関する4編の実験データ(被験者総数
n=299) はそれぞれ、相対的な危険率および加重平均差を、固定の影響とランダムな影響のモデルを用いてデータ集積されました。
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アトピーに対するプロバイオティクスの集積的予防効果は、それぞれ0.69(0.57、0.83)と0.66(0.49、0.89)で、結果はほぼ一致しました。
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この数値は固定危険率95%でプロバイオティクスにアトピー予防効果が有ることを証明しています。
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しかも、出産後だけにプロバイオティクスを使用した1編を除くと、この予防効果指標は 0.61
にまで下がります。
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一方で、SCORAD(Scoring Atopic Dermatitis)
を用いてプロバイオティクスの治療効果を検証した4編の集積的治療効果判定では、SCORAD にそれぞれ-6.64 の低減(-9.78,-3.49)と -8.56 (-18.39,1.28) の低減が見られました。
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また、各グループ内でのSCORAD 低減率はそれぞれ -1.06(-3.86,1.73)
ポイントおよび、-1.37(-4.81.2.07)ポイントの低減で、いずれもランダム危険率95%ではプロバイオティクスによるアトピー治療効果は疑わしいと判定されました。
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今回のメタ解析の結果から、私たちは、プロバイオティクスにはアトピーの治療効果よりも、予防効果が期待できると結論づけました。
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